フイルムの特性曲線 その①

Hasselblad
※写真と本文は関係ありません

以前、森谷修さんの写真ワークショップの中でフイルムの特性曲線をつくる、という経験をした。それからというもの、新しいフイルムや現像液を試すときには特性曲線を描いてみたくなるようになってしまった。脳みそが理系なのでこればかりは仕方ないのである…今回、Silversalt現像液というものを手に入れたので、あらためて普段遣いのD-76も含めて特性曲線を作成してみることにした。

今回の話、だいぶマニアックな内容なので数字とかが苦手な人にはよくわからん内容になっているかもしれないのだけれどご承知おきいただきたい。特性曲線について詳しく知りたい方はぜひぐぐってみて欲しい。そこには楽しい世界が広がっている…はず。

ちなみに私が参考にしているサイトで特性曲線について書かれている記事はこちら。

もう一つ言い訳をしておくと、今回のデータはn=1で取ったものであることに加え、中途半端な知識でコメントしているのでおかしなところがあるかもしれない。おかしいと思った方はご教授いただけると今後のためになるのでコメントいただけると嬉しいです。

手順としては、光量が一定の光源を準備して(ライトボックスなど)、適正露出から±5〜6段分に露出を変えて露光をする。その後現像してからフイルムの濃度を測定してグラフにプロットしていく。フイルムの濃度測定はいろいろ方法はあるけれど、濃度計なんてものは持っていないので引き伸ばし機の光源と露出計を使って簡易的に濃度を算出することにした。

※2020.3.29追記
横軸が単純な露光の変化量になっているので、一般的な特性曲線とは若干異なっているかもしれない。しかし今回は相対的に差を見ることができればいいと考えているのでそのままにしている。

さて、それで作成したのがこのグラフである。実際に測定した数値を入力するといろんな誤差によって凸凹になってしまったので、綺麗な曲線になるように間引いてある。傾向を見るにはそれで十分かと思うので、このグラフをもとに話を進めていくことにする。

と、その前に特性曲線の見方を簡単に説明しておくと…グラフの左右が露出、グラフの上下がフイルムの濃度を表している。つまり、左にいくほど露出が少なく、右に行くほど露出が多く、上に行けばフイルムが濃く、下に行けばフイルムが薄くなるというわけである。その前提だけを覚えてここからの話を聞いていただければと思う。

グラフは赤色がD-76、橙色がTMax Developer、青色がSiversalt Developerの曲線となっている。点線はベース(スヌケ)部の濃度を示している。(曲線が点線と重なっている=フイルムに情報が残っていない、ということ)

まず、D-76とTMaxDevを比較すると、一番左(-6段)での濃度がTMax Devの方が濃くなっている。つまり、シャドー側が強いのはTMax Devということになる。(これは、以前コメントで教えていただいた情報と一致する)一方、露出の多い方(右側)に行くとD-76の曲線が立ち上がって来てTMax Devを追い越している。と、いうことはコントラスト的にはD-76が高いということになる。とはいえ+6段ではまた一致しているので、ハイライト側変わらないということになるし、TMax Devの方がシャドーからハイライトまでがなだらかにつながっているのでトーンが安定しているということになる。逆にメリハリがあるのはD-76、ということになるだろうか。確かにデータスキャンしたときの雰囲気としてTMax Devは若干ネムく見たような…気がする。

ネガにより多くの情報が残るのがTMax Devであるが、そのままストレートで焼くとネムくなってしまうので、ある程度情報を捨てる覚悟を持つ必要があるのかもしれない。一方D-76はそのまま焼いてもそれなりのメリハリが出るので見栄えはいいが、シャドー側は潰れやすいというデメリットがあるということだろうか。だから(特にいじらなくても見栄えがするから)自分はD-76を気に入って使っていたのだろうかと考えてしまう…精進しなければ。

さて、次にSilversalt Devを見てみると…シャドー側はTMax Devとレベル感は同じ、しかしハイライト側がどーんと立ち上がってきている。つまり、シャドー側は変わらないけれどハイライト側がより白くなっている…ということはコントラストが高くなっている、ということである。個人的には今使っているD-76のトーンが好きなので、少し現像時間が長すぎた、というふうに考えられる。次はもう少し現像時間を短くして試してみようと思う(現像時間を短くすると傾きが寝てハイライト側の濃度が下がってくる)

※2020.3.29追記
次にテストする項目を決めた。
①TMax Devの希釈率を1+9→1+7に変更
②Silversalt Devの現像時間を10min→8minに変更
時間の変化と現像液の濃度の変化がどう影響するか、お楽しみに…

と、いうわけでその②につづく…(いつになるやら

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