写真関係のblogを書き始めたのが2014年。あちこち引っ越しをしながらもblogを書き続けている。継続が力になっているかはわからないけれど、これまで使った機材や撮った写真について残っているのは自分的にはとても財産になっているし、聞くところによるとたまには誰かの役に立ったり、物欲を刺激してしまったりしているそうなので、多少は世の中のためになっているのではないかと思っている。
もちろんもっともっとたくさんの機材を触っていらっしゃる方はたくさんいるし、そういった方のblogは私もよく見させていただいているが、私自身もそこそこたくさんの機材を使って、所有して、手放して、なんてことをやってきたつもりである。国産メーカーをはじめ、有名どころのカメラはある程度通ってきたつもりである。
そんな私が唯一、体験ワークショップでしか触ったことのない有名どころのカメラがある。それが
Hasselblad
である。
勝手に師匠と思っている写真家の森谷修さんはバリバリにハッセルを使い倒していらっしゃるし、当然その周りの人たちもハッセルユーザーは多い。その界隈でなくても(特に私世代のフィルム写真愛好家は)ハッセルを使っている人が多いのである。が、なぜか私自身がその道を通ることはなかった。なぜかはわからないが、ちょっとした天邪鬼っぷりを発揮していたのかもしれない(ライカも初めはそれで使っていなかったのだが、一度つかってどはまりした)
娘ができたらハッセルを買う。それで入学式とか撮ってあげるのだ。
なんてことを言っていたら娘が生まれたわけなのだけど、子供が生まれたら生まれたでばたばたしており手に入れることはなかった。いや、娘だとわかった段階で探していなかったのは本気じゃなかったのかもしれない。そして、気がつけば中判カメラの価格は高騰し、とても簡単に手が出るものではなくなってしまった。
そんなこんなでほぼ諦めていた(入学式はマキナで撮ろうと、それも贅沢な話なのだけれど)ところに、友人が機材を整理するのでハッセルを手放すという話が舞い込んだ。一度一緒に撮りに行って使わせてもらう話をしていたのだけれど感染症が広まってそんな状況じゃなくなってしまい、その話も無期延期となってしまったのが2020年の春頃の話。その後、落ち着いてきた年末に改めて予定を合わせてご一緒させていただき、そのまま譲り受けるという形で晴れてハッセルユーザーになりましたとさ。まぁわかる人は冒頭の写真を見ればここまで読まなくてもこのオチは分かっていただろうけど(笑
友人とご一緒させていただいた時にはカラーネガを使っていたためまだ現像ができていないのだけれど、後日モノクロフィルムを詰めて撮影して現像をしてみた。スキャナで取り込んでデータ化しただけなのだけれど、驚愕だった。写りは繊細でトーンが美しい。私の好きなライカのズミルックスに似たトーンと繊細さに中判の解像力が加わって、完全に心を撃ち抜かれてしまった。
なんでもっと早く手を出していなかったのかと後悔したけれど、ライカなどを一通り通ってきた今でなければここまでの衝撃を受けることはなかったかもしれないと考えれば必然だったのかもしれない。そんなわけで今後も安心して使うために譲っていただいたセットは一度メンテナンスに出した上で、手元の機材を少し整理してシステムを組もうかなんて考えている。
中判フィルムがなくなって、フィルムの価格が上がっているこの時代に完全に逆行した行動ではあるが、むしろ楽しめるのは今だけと考えて全力で楽しんでいこうと思う。
諸先輩方、よろしくお願いします。