レンズには、最短撮影距離というものがある
その名の通り、撮影できる最も近い距離のことである。
カメラのレンズは人間の目ほど優秀ではないので、あまり近くによりすぎるとピントが合わない。
マクロレンズ、などというものはこの最短撮影距離が非常に近いレンズのことである。
一般的な一眼レフの標準レンズだと、45cmくらいが一般的だろうか
(最近のレンズはもっと寄れる?オールドレンズ基準になってしまっている…)
一方、カメラにも最短撮影距離があるものがある。
ライカのような、レンジファインダーと呼ばれる、距離計連動式のカメラである。
これらのカメラは一眼レフと違い、カメラに内蔵された距離計と、
取り付けたレンズを連動させてピントを合わせている。
(だから「距離計連動式カメラ」なのである)
従って、カメラ内蔵の距離計にも距離の測定が可能な最短距離があるわけである。
と、いうことは、レンズの最短撮影距離とカメラの最短撮影距離が違う、ということも起こりうる。
その場合は最短距離の長い方が実質的な最短撮影距離になる。
(レンズの最短撮影距離の方が短い場合は、目測でなら近距離でも撮影可能)
そもそもレンジファインダーカメラの最短撮影距離は一眼レフに比べて長く
だいたいが1m、寄れても70cmというところである。
私の持つレンズはほとんどが最短1m、これがまた絶妙に足りない感じなのである。
とはいえ、私の持つライカのIIIaおよびM3は、スペック上最短撮影距離は1m
最短がそれより短いレンズを手に入れたとしても、距離計が連動しないというわけだ
それじゃあ…ということで、必然的にレンズは最短1mのものが増え、
向かいに座った人を撮るためにのけぞるようになってしまう。
しかしひょんなことから最短撮影距離が70cmのレンズを手に入れた。
M3につけてみたところ、70cmまでとは言えないものの、
80cmくらいまでは距離計が連動するではないか
聞くところによると、世間には最短撮影距離が改造されたM3があるらしい。
いや、純正でその仕様だったという話もある。
精度は定かではない…ということであまり使っていなかったのだが、
先日熊本に行ったときに試しに使ってみた。それが冒頭の写真である。
距離計の連動するぎりぎりのところだったと記憶しているが、きちんとピントはあっている。
これなら十分実用範囲内ではないか!
SSのスプリング巻き上げ、というだけで購入したうちのM3であるが
どうも純正メンテでトップカバーが交換されていたらしい、とか
今回の距離計の話だとか、つくづく不思議な個体である。
これは、ますます手放せないなぁ~
(そもそも手放す予定はない)