コンパクトライカとの出会い

Up Down

出会いとは大抵の場合、ちょっとしたきっかけで突然引き起こるものである。

勘の良い人であればこの一言で全てを察してくださるとは思うのだけれど、半年ぶりに新しいカメラを手に入れたという話である。手に入れたのはタイトルの通り、通称コンパクトライカと呼ばれているCLというカメラである。

このカメラ、日本ではライツミノルタCLとして発売され、兄弟(というか双子)のライカCLというカメラがあったり、さらには孫世代(もっとか?)にデジタルのライカCLというカメラがあったり、非常にややこしい(Googleで検索するといろんなのが出てきて欲しい情報になかなか辿り着けない)のであるが、私が手に入れたのは国内向けのライツミノルタCLである。

ことの発端は1ヶ月ほど前のこと、仕事で海外に行くことになりどのカメラを持っていくかめちゃめちゃ悩んでいた。基本は仕事なので大きなカメラは持っていけないのでハッセルは却下、荷物の扱いも(基本手荷物として持ち歩くとしても)どうなるかわからないので、デリケート(だと持ってる)M3も持っていけない。かといってF2などの一眼レフを持っていくのは嵩張ってしまうのでできればコンパクトかレンジファインダーを選びたいところ…という感じで悶々としていた。

実はちょうどその頃、祖父から引き継いだCONTAXのTVSにハマっており、片手で取れる、コンパクト、ズームで便利、写りは良い、ということでほぼほぼTVSで心が決まっていた…のだけど、なんと直前になりTVSが故障、半年以上の入院をすることになってしまったのである。

電子カメラは手軽でいいな、コンパクトカメラ最高!とか思ってたのに、故障により一気に「やっぱ機械式だな」とか言い始めるあたりが現金なところである。ちなみに冷静になってから考えれば電子式だろうが機械式だろうが壊れる時は壊れるし、違うのがそれが治せるかどうかということだけなのであるが(しかもTVSはまだ「治せる」カメラ)TVSの不調に心がやられていたその時の私はそれまでの考えから一転、機械式カメラを持っていくことに決めたのであった。

moment

とはいえ手持ちのカメラで機械式、コンパクトなカメラというとライカかローライ35くらいしかない。Penなんかもあるが折角海外に行くのなら35mmで撮りたいという思いがあったため、さらにM3はやはり持っていくのは厳しいという思いからバルナックか、ローライ35か、という二択に迫られていた。

サイズと使い勝手から考えるとローライ35を選びたくなる(フィルムの現地調達も考えていたため、フィルムカットが必要なバルナックライカはできれば避けたかった)のだけれど、距離計がないことがネックになってくる。正直これまで目測撮影で大外しをした記憶はない(特にスナップで)ので問題ないとは思うのだけれど、それでもやっぱりいざという時に距離計があった方が安心である。なんてことを数日悩んでいた。

そんなとき、TVS修理に出しにいったお店で飾ってあったライカCLが目に入った。ずっと前から気になってはいたものの、M3があるしと手を出しそびれていたカメラだったので一気に引き込まれた。今の自分にベストはこのカメラなんじゃないか?と謎の理論が頭の中で駆け巡った。とはいえ飾ってあったカメラはレンズも付いていて思いつきで買えるような値段でもない(家に帰れなくなる)そんなわけでその場はTVSの修理をお願いして帰ったわけなのだけど、当然頭にはCLがへばりついたままになった。

Liberty

そこから先は毎度のことながら、オークションで相場より安い玉を見つける→開始価格で入札したらそのまま落札、といういつもの流れである。そこらへんはなんのドラマもないのでここでは割愛するが、そんなこんなで我が家にCLがやってきたというわけである。幸運なことに露出計もそこそこの精度で動作しており、ファインダーも綺麗で当たりを引いた気分である。持病であるスプール割れは手に入れた時はなかったものの、試写で数本フィルムを通しているうちに割れてしまった。早期に気がついたのでひどくなる前に接着剤で補修することでいまのところ問題なく使えているのでよしとする。最悪3Dプリントでコピーすることもできるだろうし…なんて甘いことを考えている。とりあえず出張先で20本撮ったけど問題なさそうなのでだいじょうぶかなー

さて、カメラを手に入れるまでの経緯の話しかしていないので、カメラについてはまた今度どこかの機会にお話させてもらおうと思う。

また、先日ご紹介したフィルム写真の写真展が本日よりスタートしている。会期前半で出展している写真はこのカメラ(+エルマー35mm)で撮影したものなので、ご都合がつけば是非お越しいただければ幸いである。

FILM! FILM! FILM!

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