名レンズと言われた、ツァイス社のレンズ、ゾナー。
コーティング技術が未成熟だった時代に、
レンズの貼り合わせを増やし、反射面を減らすことで
画質とコントラストを両立させたレンズ。
ライツレンズではゾナータイプのレンズはないため(ないですよね?)
気にはなっていたけれどなかなか使ってみることができなかった。
本家ゾナーでライカに付くマウントのものは数が少なく高価であるし
国産ゾナータイプもちらほらあるものの、やはり値が張る。
そんなこんな手を出せていなかったのだが
先日、有楽町で行われていたカメラ市に立ち寄った際
某店のジャンク箱に入っている1本のレンズをみつけた。
人が多く、めぼしいものもなかったので
そろそろ帰るか…と思っていた矢先の出会いであった。
それが今回のレンズ、Jupiter-8である。
ツァイスゾナーのロシア(ソ連)コピーレンズであるJupiterは
8の他にもいろいろとバリエーションがあるようだが
有名?なのは、先日Lomographyで復刻版が発売された
Jupiter-3(50mm/f1.5)あたりだろうか。
発見したJupiter-8は、50mm/f2.0の標準レンズである。
タイトルでは”なんちゃって”と言ってしまっているが、
間違いなく、ゾナータイプのレンズである。
ジャンク箱に入っていただけあって、状態はなかなか悪い。
しかし、レンズは小キズこそあるものの曇りは無く良好。
悪いのはピントリングと絞りリング。おそらくグリスが固着している。
一応回るけど、劇的にシブい。
しかしレンズが綺麗なら…ということでこちらを入手した。
家に帰ってからネットの情報を頼りに分解である。
ロシアレンズだしきっと構造は単純だろう…とタカをくくって作業を開始。
結論としては、予想はそう外れておらず、無事にクリーニングすることができた。
中は、古いグリスがベトベトのカチカチになっていた。
製造当初のものなのか、入れ替えられたものなのかはわからないが
グリスは塗ればいいってもんじゃないんだぜ…
そんなわけで個展搬入から初日にかけて
M3につけっぱなしにして撮影してみた。
その写真が、この記事に載せている写真である。
未だスキャンを見ただけであるが、悪くない、というか、良い。
流石に同スペックのズミクロンにくらべ解像度は低いが
必要十分と判断できる、と思う。
トーンも綺麗だし、条件によってはやや暴れるものの
ボケも素直で綺麗である。
なにより、鏡胴がアルミ製なのでレンズが軽い!
ピントノブがないのはいささか気にいらないが(ノブ好き)
十分、常用レンズとして使えるレンズである
実にいい買い物をした。
おしまい