私はGR1sを持っている。といってもこれは自分で買ったわけではなく、祖父からの借り物である。とはいえ祖父も歳を取り、フイルムで写真を撮るなんてこともないと思うので、実質的にお下がりとして「もらった」ことになるのかもしれない。
巷で高級コンパクトと言うとコンタックスのT2が人気だが、一度GR1sを持ってしまうとあの”ぼってりと”したボディはどうもちょっと手になじまないのである。写りは最高なんだけど。一方でGR1はフイルムカメラ限界まで薄くしたサイズと軽量なボディにより(T2比で約100g軽い)ポケットに入れていても違和感のないカメラになっている。デジタルのGRも未だに根強い人気があるし、良いカメラなのだ(しかし、もう修理できないことが仇になりT2より安い価格で取引されている)
さて、前置きは長くなったのだけど今日はそんなGR1sの弟分である(弟分ならジュニアではないか、そもそもジュニアと呼ばれていることは見たことがないので私が勝手にそう呼んだだけなのだが)GR10のお話。祖父の家から空き箱だけが出てきて残念がっていたのだけど、後日ボディが発見され、グリップやモルトが加水分解していたことを除けば問題なく作動していたので(液晶も完動だった)めでたく我が家にお迎えすることができたというわけである。
高級機であるGR1sに対して普及機扱いのGR10、新品当時GR1が約10万円なのに対してGR10が6万円ということで、かなりお買い得感を感じられる。機能が省略されたり(詳細は巷で語られてるので省略)ボディの材質が変わってちょっぴり大きくなったりはしているものの、レンズがGR1そのまんま、というのは当時のアマチュア写真家にはとても喜ばしいことだったのではないだろうか。(しかしRICOHのWebサイト資料によると重さはGR10の方が軽いらしい。ボディの材質変更より機能省略による軽量化のほうが大きかった?それともダイカストと絞りという製法の違いかな)
これを中途半端と見るか、バランスがいいと見るかはあなた次第であるが、私としてはコンパクトカメラはポッケに入れて、片手で取り出して片手で撮ってポッケにしまうという使い方をするので、露出補正とかはあんまり必要としていない。それよりも重要視しているのが日付機能であり、私の持っていたGR1sはデート機能がなかったため、GR10のデート機能は非常にありがたい…!(ただ、GRの日付の入り方はあまり好みではない)
ちなみにGR1デート/GR10は2024年まで対応している。微妙っちゃ微妙だけれど日付が使えなくなっても高性能GRレンズのスナップシューターとして活躍できるので息は長いカメラになるだろう
少し気になるのは、普及機ということでR1s系の機能が追加されているところである。GR1sにあるSNAP機能は省略されているが、逆にスーパーインテリジェント夜景モードという機能が備わっている。なんだかすごそうな機能であるが、調べてみると
夜景でポートレイトを撮る際に、まずピントを無限遠に合わせてスローシャッターで露光する。次にピントを人に合わせてフラッシュを焚いて露光する
という機能のようである。つまり、自動的に多重露光を行っているわけだが、こうすることで背景にも人物にもピントの合った写真が出来上がるというわけである。人物も背景もくっきり、というのが記憶写真には必要だったのかもしれない(人にピントを合わせると背景がボケちゃうのよね、どこに行ったかも記録しておきたいのに、なんてぼやくお母さんがたくさんいたのだろうか)。背景はボカしてなんぼ、みたいな現代(もうそんあ時代は終わった?)とは全く真逆の方向を向いた機能ではあるが、現代のスマホカメラにも通じるような(撮影時にピント位置をずらして撮って合成という)機能がこの自体のフイルムカメラに搭載されていたとは、面白い会社である。
残念ながらフラッシュONのときにしか使えない機能であるが、この機能をうまく使って面白い写真が撮れないかなーなんてことを考えている。なんかできたらまたここでご紹介しようと思う。
※ちなみにGRという名前の由来は「Get Real」だそうな…某漫画で呼ばれていた名前のインパクトが強すぎてタイトルに使わせていただきました