世界最高?の覗き窓

Coffee stand

私のハッセルブラッドには、アキュートマットが装着されている。いや、いた。
結論から言うと、アキュートマットDにアップデートした。

ハッセルブラッドのファインダーは美しく、一度覗くと虜になってしまう。私もハッセルを持っていると「ちょっと覗かせてもらってもいいですか?」と聞かれることがあるのだけれど、もちろん快諾はするのだけれど「欲しくなるけど大丈夫ですか?」と問いかけるようにしている。(みなさん、それでも「大丈夫です!」と言って覗いて「あー欲しくなるー」と嘆いている、カメラ好きはみんな一緒。)
そのくらいハッセルのファインダーは美しい。しかしその美しいファインダーは実は日本の技術なのである…ということはみなさんご存知の通りである。

ハッセルのファインダーといっても、初期の頃のノーマルスクリーンは(国産二眼レフなどのすりガラスだけのスクリーンに比べれば明るいものの)正直見やすいとは言えないと感じた。明るくなるようにフレネルレンズを装着しているものの、ピントの山は見やすいのだけどルーペで覗くとフレネルの縞々が非常に気になってしまいピントが合わせやすいとは言い難い。(ただし、ノーマルスクリーンにも世代により違いがあるようである。ノーマルスクリーン沼もあるのか…?)

そして先述のアキュートマットであるが、こちらは非常に明るくフレネルの縞模様も気にならず見やすいのだけど、どうもピントの山が掴みづらい。ディスタゴン60mmで撮った写真がどうもピントを外すなあと感じていたのだけど、自分の目の問題という部分もあるもののファインダーにも原因があるのではないか、と考えたわけである(ピントがあっているように見える位置に幅があるのでピンズレしてしまう)そうなると、明るさを抑えてピントの山を見やすくしたというアキュートマットDのスクリーンが気になってくる。

Illumination

そんなことを呟いていたらお世話になっているお店から「在庫ありまっせ」と連絡がある。人の物欲に敏感であるということはお店としては大切な要素なのかもしれない。ちなみに連絡をいただいた際、アキュートDの他にも何かあるかと問いかけたところ一言。

「オプト・・・ファイバー・・・」

これまたご存知の通り希少なスクリーンで、超微細なガラス繊維(光ファイバー)を束ねて明るさを確保したという気が狂ったファインダーである。アキュートマットが出てくる前にハッセルが明るいファインダーを求めて生み出した産物らしい。きっとお値段も相当なものだろうが、せっかくなのでそれも合わせて見せてもおうと、週末にお店に伺うことにした。

結論は冒頭に述べた通り、アキュートDを選択したのだけれど、せっかくなので(自分の備忘録も兼ねて)それぞれのファインダーの感想を記録しておくことにする。あくまで主観であるので一意見として参考にしていただければ幸いである。

■スタンダード(ノーマルマット)
暗いのを我慢すればノーマルの方がピント合わせしやすいかな、と思って手に入れた標準のスクリーン。上でも述べた通り、フレネルがスクリーン中心まで切ってあってルーペで覗くとその縞模様が非常に煩くて見づらい。この縞模様さえなければピント合わせはやりやすい方だと思うのだけど…下取りに出してしまってから気がついたのだけど、実はルーペを使わないでピント合わせするのが合っているのかもしれない…いやそんなことはないか。しかしノーマルスクリーンにも世代があって微妙に仕様が違うものがあるらしいので、見やすいノーマルスクリーンもあるのかもしれない。

■セントラルグリッド
中心に円形の明るい部分があり(フレネルなし)周囲はノーマル同様のフレネルが設定されているもの。中心だけでもフレネルがなければ…と思って手に入れて見たものの、やはりフレネルの縞模様が気になってしまう。グリッドが入っているのは水平を取りやすいので、ノーマル同様縞模様がなければ…といった印象である。

■アキュートマット
恋するファインダー、世界最高の覗き窓、いろんな呼び方があるけれど(あるのか?)確かに明るさはピカイチでファインダーを覗いているだけでテンションの上がるスクリーンである。しかし、先述したようにピントの山が「やや」掴みづらく、広角だったり暗めのレンズだったりするとピンずれを発生してしまうケースがある(慣れの問題とか、腕の問題とかもあるかもしれない)80mm f2.8のレンズしか使わない、とかであればベストなスクリーンになるのではないだろうか(私は100mm f3.5と60mm f3.5を使用しているので厳しかった)

■アキュートマットD
明るさはアキュートに劣るものの、ピントの山は見やすくなっている…気がする。覗いた時の感動はアキュートには劣るものの、実用的にはベストバランスなスクリーンではないだろうか。欠点があるとすれば値段が高いこと。私が手に入れた個体はその前につけていたアキュートに比べて(ノーマルほどではないけれど)ややフレネルの縞模様が気になる気がした。

■オプトファイバー
まず重い。単体で持った時に他のスクリーンと比べてずっしりとしている。フレネルの縞模様もなくそこそこ明るい上にピントの見え方は良好であるが、若干モヤがかったというか独特な見え方をする印象を受けた。また個人的にはスクリーンそのものが繊細というところが欠点に感じてしまい選択には至らなかった(単純に価格が高い、ということもあるけれど…)

Ginza Tokyo

そんなわけでしばらくアキュートD生活をしてみようと思っている。またそのうちに気が変わったら追記か別の記事でご紹介しようと思う。

こんなスクリーン見やすさ比べをしている中で、偶然手元にあったブロニカECのスクリーンを覗いてみた。めっちゃ見やすい…明るさ十分、フレネルの縞模様はほどほどにピントも見やすい。ピントの合わせやすさはブロニカやマミヤが上、というのはその通りかもしれない…

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