最近、EOS Kissを愛用している。最近、といっても使い始めたのは2018年の10月頃なので、もう1年半以上は使っていることになる。きっかけは子供ができたこと。それまでほぼモノクロでしか撮っていなかった私だったのだけど、子供はカラーでも撮ってあげたほうがいいかな、と思い(小学生くらいになって卒業アルバムで「赤ちゃんの頃の写真を持ってこよう!」なんてことになったときにモノクロ写真しかなかったら可愛そうだな、とか)気軽に撮れるカメラはないかな、と考えたときに白羽の矢がたったというわけである(なぜかたまたま家にKiss 5があった、というのも理由の一つである)
さて、そんなEOS Kissがどんなに便利かという話は以前に語っているのでそちらを参照していただくとして、実は最近わけあってこの時代のKissを3台手にすることができたので、それらの違いについて語ってみようと思う。マニアックな話なのでご興味のある方だけどうぞ。
3兄弟、と言われているかどうかわからないけれど、今回比較するのは
EOS Kiss 5
EOS Kiss Lite
EOS Kiss 7
の3台である。これらは2000年代に発売されたフイルムカメラ末期時代のカメラであり、非常に高性能である。正直どれを選んでも実用的には十分な機能を持っており、不便することはないと思うけれど、3台手にしてみると微妙に違ったりすることに気がついたのでここに記録として残しておくことにする。
とは言うものの、まずはSPEC上での違いを比較してみることにする。情報はすべてCanonの公式サイトより引用させていただいた(一部加筆あり)。また、特異点について太字で表記している。(表記は違うが仕様としては同じと判断したものは太字にしていない。スマホの方は横にして見ていただけると見やすくなる…と思う)
Kiss 5 | Kiss 7 | Kiss Lite | |
---|---|---|---|
ファインダー |
ペンタダハミラー 視野率90% 倍率0.7倍 視度:-2.5~+0.5dpt |
← ← ← ← |
← ← ← 視度:-1.0dpt |
スクリーン | ニューレーザーマット | 全面マット |
ニューレーザーマット AFフレームマーク(7点)付 |
ミラー |
クイックリターン式 全面ハーフミラー |
← | ← |
ファインダー情報 (主な表示) |
AF情報 スーパーインポーズ表示 合焦マーク 露出情報 シャッター速度 絞り数値 露出レベル(±2.0) 露出警告 AEロック ストロボ情報 充電完了 ハイスピードシンクロ FEロック 赤目緩和 連動範囲外警告 |
AF情報 スーパーインポーズ表示 合焦マーク 露出情報 シャッター速度 絞り数値 露出レベル(±3.0) AEロック ストロボ情報 充電完了 ハイスピードシンクロ FEロック 赤目緩和 連動範囲外警告 |
AF情報 下部LCD 露出情報 シャッター速度 絞り数値 露出レベル(±2.0) AEロック ストロボ情報 充電完了 (他未確認) |
被写界深度確認 | 絞り込みボタンによる | ← | なし |
オートフォーカス |
CMOSセンサーによる TTL-CT-SIR方式 測距点:7点 測距輝度範囲: EV1~18(ISO100) フォーカスモード: ワンショットAF AIサーボAF AIフォーカスAF 手動(MF) |
← ← ← ← モード選択可能 |
← ← ← ← |
AFフレーム選択 |
P、Tv、Av、M: 任意選択/自動選択 その他のモード: 自動選択 |
← | ← |
AFフレーム選択表示 |
ファインダー内 スーパーインポーズ 表示パネルAFフレームマーク |
← ← |
ファインダー内LCD ← |
AF補助光 |
内蔵(ストロボ間欠発光方式) 有効距離: 中央部 約4m 周辺部 約3.5m |
← | ← |
測光方式 |
35分割TTL開放測光 評価測光 すべてのAFフレームに連動 部分測光 中央部 ファインダー画面の約9.5% 中央部重点平均測光 マニュアル露出時自動設定 |
← | ← |
測光範囲 |
EV1~20 (常温・50mm F1.4・ISO100) |
← | ← |
露出制御方式 |
全自動 イメージセレクト6種 ポートレート 風景 クローズアップ スポーツ 夜景ポートレート ストロボ発光禁止 プログラムAE(シフト可能) シャッター優先AE 絞り優先AE 自動深度優先AE E-TTL/A-TTL/TTLストロボAE マニュアル露出 |
← ← ← ← ← ← E-TTL IIストロボAE ← |
← ← ← ← ← ← E-TTL/A-TTL/TTLストロボAE ← |
フィルム感度 |
ISO6~6400 DXコード対応 ISO25~5000 1/3段ステップ |
← | ← |
露出補正 |
手動:1/2段ステップ±2段 (AEB併用可能) AEB:1/2段ステップ±2段 |
← | ← |
AEロック |
自動: ワンショットAF・評価測光時、合焦と同時にAEロック 手動: AEロックボタン押しによる (部分測光) |
← | ← |
多重露出 | 最大予約回数:9回 | ← | ← |
シャッター |
形式: 電子制御式 フォーカルプレーン シャッター速度: 1/2000~30秒 (1/2段ステップ) バルブ X=1/90秒 レリーズ方式: ソフトタッチ電磁レリーズ セルフタイマー: 10秒後撮影 リモコン: リモートスイッチRS-60E3、リモートコントローラーRC-5/RC-1対応 |
← シャッター速度: 1/4000~30秒 (1/2段ステップ) バルブ X=1/125秒 ← ← リモコン: リモートコントローラーRC-5/RC-1対応 |
← シャッター速度: 1/2000~30秒 (1/2段ステップ) バルブ X=1/90秒 ← ← ← |
内蔵ストロボ |
測距点連動 3分割TTL自動調光 GNo.12(ISO100・m) 充電時間:約2秒 照射角: 焦点距離28mm画角に対応 赤目緩和機能: 内蔵(ランプ式) |
E-TTL II 自動調光 FEロック可能 GNo.13(ISO100・m) ← ← ← |
測距点連動 3分割TTL自動調光 GNo.12(ISO100・m) ← ← ← |
EOS専用 外部ストロボ |
E-TTL/A-TTL/TTL自動調光 | E-TTL II 自動調光 | E-TTL/A-TTL/TTL自動調光 |
フィルム装填 | 自動(プリワインド式) | ← | ← |
巻き上げモード | 1枚撮影/連続撮影 | ← | ← |
連続撮影速度 |
ワンショットAF時: 約2.5コマ/秒 AIサーボAF時:約2.3コマ/秒 |
ワンショットAF時: 約3コマ/秒 AIサーボAF時:約2.5コマ/秒 |
ワンショットAF時: 約2.5コマ/秒 AIサーボAF時:約2.3コマ/秒 |
フィルムカウンター | 逆算式 | ← | ← |
巻き戻し | 自動(途中巻き戻し可能) | ← | ← |
カスタム機能 | なし | 6種類 | なし |
オートデート機構 |
2099年まで対応 電源:カメラ本体と共用 |
← | ← |
電源 | CR2リチウム電池 2本 | ← | ← |
バッテリーパック | BP-220 | ← | ← |
大きさ | 130x88x64mm | 130x90x64mm | 130x88x64mm |
重量 |
365g (本体のみ、電池別) |
← |
340g (本体のみ、電池別) |
さて、ここまででかなりの大作?になってしまった(情報まとめただけなのだけれど)ここから読み取れるのは、5とLiteは機能的にはほぼ同じであるということ。違いはスーパーインポーズの有無と被写界深度確認ボタンの有無、といったところ位だろうか。一方で7は進化していることがわかる。やはり注目すべきはシャッター速度が最速1/4000になったこと、これに伴いX接点の同調速度も1/90から1/125に上がっている。また、内蔵ストロボが強化されていたり、連射性能の向上、ファインダー内の露出表示も±2.0だったものが±3.0まで表示されるようになったりと、地味ながらも進化していることが伺える。
ここまで見てみて、どれを選ぶかはあなた次第…というわけではあるが、性能第一なら7、軽さ重視ならLite、価格や入手性のバランスを求めるなら5、という選択肢になるのではないかと思う。
長くなってしまったので今日はこのくらいにして、次回は実際のモノを手にしたときに気づく違いを語ってみようと思う。いつになるかナァ〜…
※2020.6.13追記
後編はこちら