加納システム

Bronica

フィルムで写真を撮るのはお金がかかる。フィルムを買わなければいけないし、現像にもお金がかかる。さらに、データ化やプリントにもお金がかかる。そんなこの世の中で、とにかくコストを下げようと、いろいろ考えた末に私が今現在運用しているやりかたを師から「加納システム」と名付けられた。

せっかくなので、どんな形で運用しているのかここに書き残しておくことにする。

但し、あくまで「私の」やり方であって、性格や環境、撮影ペースによってはうまくいく保証はないので参考にする場合は、そこんところご了承いただきたい。また、この運用方法はモノクロフィルムだからこそできることもあり、カラーネガやリバーサルでは同じようにはできないと思うので注意されたし

東館

①フィルムの調達

フィルムは長巻(100ft缶)で購入し、自分でパトローネに巻いて使用している。フィルムローダーを使えば作業は簡単だし、パトローネのゴミも増えないので、環境にも優しい(と、思う)

難点があるとすれば、大量買いになるのでいろんなフィルムを使って…ということができなくなることである。また、お気に入りのフィルムに長巻の設定がないとこの方法は使えないので、注意が必要。

但し、現像レシピを工夫することで、長巻があるフィルムを選んで自分好みのネガにすることもある程度は可能である

Canon Girl

②写真の撮影

これは、とにかく撮るだけ。コストかからないのだから、とにかく撮りまくる。たぶんこのやり方は枚数撮るほうがコスト削減効果が高い。ちなみに私はだいたい月に20本くらいのペースで撮っている。

Workshop

③フィルムの現像

もちろん、自家現像である。初期投資はかかるものの、道具さえ揃えてしまえば1本あたり数十円~百円ちょっと(+自分の時給)で現像ができる。また、30分ほどの作業で撮影した像が見えるので、私のようなせっかちさんにとっても嬉しいのである。

さらに、現像液の選択や現像時間のコントロールによって階調をコントロールしたりできることもメリットである。私は軟調なネガが好きなので、400のフィルムを使って1段オーバーで撮影、減感現像するレシピを標準としている。

自家現像の難点としては、面倒であること。これに尽きる。正直、めんどくさがりの人にはオススメできない。加納システムの一番のネックはここじゃないだろうか…食事をするように、毎日でも現像ができる。そういう方でないと、この運用は成立しないと思う。(めんどくさがってやらない→未現像フィルムが溜まる→もっと面倒になる)

私は、飲んで帰ってきても現像する。普通の人からしたらきっと信じられないと思うけれど(フィルムの現像は失敗したら取り返しが付かない)かなり飲んで、酔って帰ってきて、それでも現像して、次の日起きたら現像したこと忘れててネガが干してあってびっくりする、なんてこともあったりなかったり…(それでも失敗したことはない、今のところは)

ただし、前述したとおり失敗したら取り返しがつかないので、これは真似せずにしっかり時間を取って、落ち着いてやるべきである

実際どんな作業をやるのか知りたいという方は、アウラ舎さんあたりに行って体験をしてみれば良いと思う。一通りの流れを体験することで、できそうかどうかわかるだろう(難しいことはない、ただ面倒なだけである)

また、自宅でやる場合はご家族の理解も必要である(人によっては、ここが一番のネックになるかも…)

videocamera

④フィルムのデータ化(※2019.5.17追記)

フィルム写真はデータ化なんてしない!という方はここについては読み飛ばしていただいてよい。

私の場合、最終的な写真はプリントしたいと考えているが、こういったblogに載せたり、Webサイトに載せたりするため、また写真の管理の為に全コマデータ化は必須なのである。

データは、フィルムスキャナを使ってデータ化を行う。最悪の事態を想定すると、このデータしか写真が残らないことを考慮し、スキャナの限界解像度でスキャンしている(それでも大したことないけど)

個人的にはこれが一番面倒(時間がかかる)な作業である。会社の先輩から頂いた10年くらい前のフィルムスキャナを使っているのだが、36枚撮フィルム1本データ化するのにだいたい1時間半かかる。しかも6枚ずつのスリーブごとにしか入れられないので、つきっきりとまでいかなくても結構拘束されるのである

旅行帰りで10本撮ったときなど、とりあえず1本でもいいからその日のうちに現像してデータ化を勧めながら続きのフィルムを現像する…という、現像祭りスキャン祭りが待っている。写真を仕上げるまでが、旅行です。

※2019.5.19追記

先輩から頂いたスキャナが寿命を迎え、中古で手に入れた同じ型のスキャナが寿命を迎えてしまったので、ついにデジカメでデータ化する方法に乗り換えた。厳密な解像度でいえばフィルムスキャナに軍配があがるものの、取り込み時間としては劇的に短縮することができる(36枚撮フィルム1本5~10分くらい)

具体的なやり方はこちらを参照いただきたい

Valoy

⑤プリント

ここは自分でやってもお店にお願いしてもコスト自体はそんなに変わらないだろう。

ただ、せっかくここまで自分の手でやってきたのだから最終アウトプットも自分でやりたいよね、ということで自宅に暗室を構えてしまった。

フィルムの現像と違い、プリントはちゃんとした暗室が必要なのでハードルが上がる。引き伸ばし機も安くはないし、でかい。ご家族の理解を得るためのハードルはかなり高くなるだろう。それでも、思い立ったときに時間を気にせず「自分の設備で」プリントできるということは、なかなか気持ちのいいものである

 

さて、長々と書いてしまったけれど、とりあえず加納システムについて思いついたことを書いてみた

最後になってしまうけれど、この運用をした場合の注意点としてお店に頼むことがなくなってしまうため、写真業界の活性化に対する寄与は低くなってしまうことがある。また、お店にいかなくなることで、写真仲間との出会いの場も少なくなってしまうことも事実である。その辺を考えながら、参考になる部分は参考にしていただければと思う。

 

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